ん~これじゃ伝わらないね。
何を伝えたいのかわからん。
そんなにダメなら、あんたが代わりに書いてくれ!(心の声)
正直なところ、
文章なんて読み手によって受け取り方が変わるもの!
だから、万人がわかる完璧な資料なんて出来るわけないと。
つまり、相手の好みではなかった⇒自分の実力不足ではない・・・(;^_^A言い訳。
言い訳はともかく、ここ大事です!万人向けに文章を作ってはいけません。読み手に合わせて文章を書く必要があるんです!資料作りでダメ出しが多い人は、読み手のことを意識できていないからです。
そんな大事なことが学べる書籍がこちら。
『 伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則 』
山口 拓朗(著)
結論:伝わる文章を書くには準備が必須
伝わる文章を書くためのテクニックを学ぶ前に、前提を理解しておく必要があります。
そもそも文章は、伝えることに難があるツールだと意識する必要があります。だから、読み手が誰なのか、何を伝えたいのか、ポイントを絞って少しでも伝わる文章にしていくことが重要です。
次に、伝わる文章を書く前に、誰に何を伝えたいのか整理しておく必要があります。
- 誰に伝えたいのか(直属の上司?経営層?お客様?)
- 伝えたい人はどんな状態なのか(何をどこまで知っている?何を知らない?)
- 伝えたい人は何がしりたいのか(製品仕様?費用?工数?)
成功のためには、まずは敵?を知ることからです。伝えたい相手を調査することは必須です。何をどこまで知っているか、何を知らないのかを把握していないと、必要十分な文章を書くことができません。相手が十分知っている内容であれば、簡単に補足する文章で十分ですし、全く知らない場合は背景から丁寧に文章で説明する必要があります。
そして、 伝わる文章を書く前に、 主張と要求を整理します。
これらを初めに明確にしておくことで、軸がブレることを防ぎます。資料の最初にこれを書いておくと良いと思います。読み手からしてみても、何を言いたくて自分に何をしてほしいのかわかりやすくなります。その後に、説明する文章が続いていくと思いますが、そもそもこの軸が読み手に伝わっていれば、少々文章がまずくても、大きく理解を損なうことは無くなります。
以上が、文章を書く前に準備しておくものです。ここまで準備しておいてから文章を書いていきます。実際に文章を書く上でのテクニックや注意事項なども本書で学ぶことができます。
この文章を書く前の準備の詳細や文章を書くテクニックをもっと知りたい方は、引き続き本記事をご覧ください。
書籍の紹介
本書では、伝わる文章を書くためのノウハウが87項目説明されています。
その87項目を各章に分けて、体系的に学ぶことができます。
- 文章を書く準備をしよう
- 伝わる文章を早く書こう
- 伝わる文章を簡潔に書こう
- 伝わる文章をわかりやすく書こう
- 正しく、恥ずかしくない文章を書こう
- 読みたくなる文章を書こう
- メール・SNS対策をしよう
一つ一つ丁寧に解説されており、難しい内容はありません。
87項目の中には、すでに実践できているものもあると思います。
実践できているものに関しては、これで良いんだ!と自信につながります。
著者の山口先生は、伝える力【話す・書く】研究所所長という方で伝える専門家です。
そのノウハウを学べる貴重な一冊です!
この書籍を読み終えたころには、文章を書きたくて仕方なくなりますよ。
書籍の概要
しっかし・・・87項目は多い・・・(汗)
と、読む前に心くじけてしまいそうな方は安心してください。
ここからは、少し項目を絞って、
その中から、10項目について考察していきたいと思います。
これらは私が共感したことや実践してみたこと、
とても重要だと思った10項目となります。
第1章 文章を書く準備をしよう
まずは、文章を書き始める前に意識しておくこと。
① 人は都合よく文章を解釈する
文章は、完璧な情報伝達手段ではありません。
書き手が発信する情報と、読み手が受け取る情報には、
多かれ少なかれ「ずれ」が生じるものです。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
資料を作成して人に見せると、その見せた人数分だけ色々解釈してくれます(笑)
勝手な自己解釈をさせない、させる余地のない文章を心がける必要があります。
とある日の奥様からのLINEで、
夕食の準備できないから、自分で食べたいもの買ってきて。
私(奥様)は遅くなるから、こっちで済ませておく。
という解釈だったのですが・・・
少し遅くなって買い物できないから、自分(奥様)のご飯も何か買っておいて。
いや、これは分らんて。。
その後、ダッシュで買いに行きました。
こんな感じで、人の数だけ解釈が変わると意識しましょう。
② 文章を読ませる相手を明確にする
ターゲットが明確な文章には「伝わる力」があり、
ターゲットが不明確な文章には「伝わる力」がありません。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
今から作る文章には、必ず読み手がいますよね?
誰に何を伝えたいのか、読み手は誰なのか、その相手にどうしてほしいのか。
その人はすでに何を知っていて、何を知りたいと思っているのか。
これらを明確にしておかなければ、伝わる文章は書けません。
例えば、あるサービスの提案書を作成したいとき、
”サービスを使う人”と”承認してお金を出す人”に説明する資料が
全く同じで良いわけはないですよね?
サービスを使う人は、作業が楽になるのか?便利になるのか?を知りたくて、
お金を出す人は、いくらくらいかかるのか?費用対効果は?を知りたい。
読み手が聞きたい文章を作り、満足させる文章が伝わる文章です。
第2章 伝わる文章を速く書こう
速く書くためには、テンプレートを利用することが重要。
③ テンプレートを活用する
多くの物事には、基本や型があります。
これらを使うことによって、作業の最大効率化を図ることができます。
速く、効率良く文章を書きたいなら、型を活用しましょう。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
先人が考案してくれたテンプレートを存分に活用し、
自分は伝えたい文章に注力します。
本書では、報告書・宣伝文・評論・企画書・コラム・説明書など、
有益なテンプレートを解説付きで紹介されています。
これを使わないのはもったいないです。
パワポやワードでテンプレートを作っておけば一生使えます。
作る資料によって、使うテンプレートを選びます。
あとはそのストーリーに従って、伝わる文章を書いていくだけです。
第3章 伝わる文章を簡潔に書こう
文章は長く書けば伝わるというわけではない。
④ 情報をひとつに絞る
メッセージが絞られていない文章は、
焦点が定まらないカメラのレンズのようなものです。
ひとつの項目にたくさんの情報が盛り込まれていたら、
読みにくくて仕方がないはずです。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
1度に多くのことを理解してもらおうと思ってはいけません。
書き手も主張がぶれやすくなりますし、聞き手も理解しにくくなります。
例えば、パワポの資料であれば、1ページにつき伝えたいことを一つにする。
まずは、この1ページで伝えたいキーメッセージを定めます。
それが一文で伝わるなら、それでOK。それ以上書く必要はありません。
現実的には一文だと難しいので、補足文や図や絵を付け足していきます。
第4章 伝わる文章をわかりやすく書こう
多くの誤解を生む表現がある。
⑤ あいまいな表現を避ける
「大きい」「高い」「長い」「多い」「早い」「しばらく」・・・省略
などの言葉は、受け取る人によってイメージが異なります。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
これを読んで、ドキッとした方はいませんか?
文章だけでなく、普段の会話から使用していませんか?
- しばらくお待ちください。
- 少し遅れて開始します。
- ちょっと難しいですね。
言う方は違和感が無いのですが、聞く方は情報が足りず不安になります。
- 3分ほどロビーでお待ちください。
- 本日の公演は、10分遅れて開始します。
- 〇月×日までは対応が難しいですね。
このように具体的な数値や名詞で表現してもらえると、
格段に伝わりやすく安心できる文章へと変化します。
⑥ 「言葉足らず」は悪文の元凶
書き手の一方的な判断で、その「当たり前」を省いてはいけないのです。
実務で「言葉足らず」の文章を書けば、書き手自身の信用を落としかねません。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
言葉での報告や相談でも同じですね。
ご存じ例の件ですが・・・と話し始めても、
聞き手は色々な案件を抱えていたりするので、
一体どの件?(怒)となります。
文章においても、相手が何を知っていて、何を知らないか、
そして、これはもう一度ここで表現しておいた方が伝わりやすい、など
常に読み手のことを考え、読み手が察してくれるだろうは禁物です。
第5章 正しく、恥ずかしくない文章を書こう
大人として、常識のある文章を書きたい!
⑦ 「意味がありそうでない言葉」を使わない
「意味がありそうで実は無い」
無意識のうちに、そんなあいまいな言葉を使っていませんか?
元凶となる言葉を削除することによって、理解しやすい文章になります。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
あいまい文:「このような現象はふつうにありえます。」
修正した文:「このような現象はありえます。」
あいまい文:「本件については、少しこちらで検討させていただきます。」
修正した文:「本件については、こちらで検討させていただきます。」
「ふつう」や「少し」などは無くても伝わりますよね。
いえ、むしろ邪魔になっています。
私の場合は、文章より言葉で言ってしまいます。
「基本的には」「おそらく」「ちょっと」など、
次に発する言葉を考えている間を埋めるために、出てしまうのだと思われます。
⑧ 使いがちな二重表現
二重表現(同じ意味の語を重ねて使う言い方)は、
慣れで使ってしまうケースがほとんどです。
一方、使われてもおかしくない、容認されているものもあります。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
「頭痛が痛い」「上を見上げる」「日本に来日」「アメリカに渡米」
これらは少しネタっぽくて、違和感を覚えることは多いと思います。
でも、
「一番最初」「まず最初に」「余分な贅肉」「はっきり断言する」
「返事を返す」「最後の切り札」「全て一任する」など。
少しドキドキしてきました。
使っています。あまり違和感を感じないですよね?
ちなみに、「違和感を感じない」も二重表現です(笑)
正確には、「違和感が無い」と表現します。
一方、容認されているのは以下の通り。
「犯罪を犯す」「被害を被る」「歌を歌う」「指をさす」など。
これらは正しくないとしても、もう変えられないですね(笑)
第6章 読みたくなる文章を書こう
読み手にスラスラ読んでもらえる文章を書きたい!
⑨ 2種類の表現(抽象と具体)を同時に盛り込む
具体的な表現と抽象的な表現は、どちらも重要です。
文中に両者を盛り込むことで、説得力が生まれるケースが少なくありません。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
「具体的」⇒ つまり ⇒「抽象的」の流れと、
「抽象的」⇒ 例えば ⇒「具体的」の流れです。
以下に例をあげてみると、
具体的:私の知っているプログラマは皆、論理的な思考力に優れています。
特に優れている人は、読書好きな文系出身の人です。
抽象的:プログラマは必ずしも理系の人が向いているというわけではありません。
それぞれの表現を別々に読むと、へぇ~としか思いません。
これをつなげてみるとどうでしょうか。
「具体的」⇒ つまり ⇒「抽象的」
私の知っているプログラマは皆、論理的な思考力に優れています。
特に優れている人は、読書好きな文系出身の人です。
つまり、
プログラマは必ずしも理系の人が向いているというわけではありません。
そしてこちらはどうでしょうか。
「抽象的」⇒ 例えば ⇒「具体的」
プログラマは必ずしも理系の人が向いているというわけではありません。
例えば、
私の知っているプログラマは皆、論理的な思考力に優れています。
特に優れている人は、読書好きな文系出身の人です。
どちらか一方だけだと、イメージが湧きづらいものも、
具体的・抽象的の両者を合わせることで説得力が高まります。
これもテンプレートですね。
⑩ 「具体例」や「たとえ話」を盛り込む
説得力のある文章には、具体例が必要不可欠です。
「説得力の高さ」「わかりやすさ」「記憶への定着率の高さ」
この3点が「たとえ話」のメリットです。
出典:伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則
少し難しい内容の話でも、
具体例を聞くと理解しやすくなりますよね。
よく知っていることや簡単な言葉に例えてもらえると、
とても理解がしやすくなりますし、記憶にも残ります。
テストで良い点をとったらご褒美をあげる教育は、
勉強する喜びを奪うアンダーマイニング効果となることが証明されている。
例えば、こんな実験がある。
パズルが好きな人たちを2グループに分け、
一方のグループには、3日間好きにパズルを解いてもらった。
もう一方のグループには、1日目と3日目に好きにパズルを解いてもらった。
ただし、2日目はパズルを一つ解くごとにお金を与えた。
お金を与えられたグループの人たちは、3日目のパズルを解くモチベーションが下がった。
それは、パズルを解くことより、お金をもらうことが目的になってしまったからだ。
アンダーマイニング効果という言葉は忘れてしまいそうですが、
ご褒美をあげる教育は良くないんだということはわかりました。
まとめ
文章とは、”簡単に想いを伝えられるツールではない”ことがわかりました。
本書を読むと、”読み手のことを常に考える意識”が身に付きます。
本書は以下のような人におすすめです。
- 文章を書くノウハウを、体系的に学びたい人
- 新社会人や会社で資料を作ることが多い人
- SNSやブログで情報発信している人
本書の使い方としては、一度全体を通して読んだ後、
手もとにおいておき、迷った時の辞書として使うと良いと思います。