「クローズドサークル」とは、主にミステリー作品(特に本格推理)で使われる用語で、外部との連絡や移動が不可能な閉ざされた状況を指します。
その中で事件(多くは殺人事件)が発生することで、登場人物の中に必ず犯人がいることが前提となり、本格的な推理が展開されます。
どうでしょう、ワクワクしませんか?
ここでは、クローズドサークルの独特な設定と緻密な推理が魅力のミステリー小説を紹介します。
そこで今回は、本格推理ミステリー小説の中から特におすすめの5作品を厳選しました。
特に、初めて本格推理ミステリーを読む人におすすめです。
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クローズドサークルのミステリー初めて読むならコレ

クローズドサークルのミステリーは、狭い空間で繰り広げられる密室の中での心理戦が魅力です。
つまり、読者は主人公と共に限られた情報をもとに犯人を推理する楽しみを味わえると言えます。
これは、一度読んだらやめられない魅力を持っています。
このジャンルのミステリー小説は、読者を緊張感あふれる状況に引き込む力を持っています。
1.『十角館の殺人』 綾辻行人
あらすじ(ネタバレなし)
大学のミステリー研究会のメンバー7人が、1年前に殺人事件が起こった孤島「角島(つのじま)」を訪れ、合宿を行うことに。そこには、奇妙な形をした「十角館(じゅっかくかん)」という建物が建っていた。
彼らは本名を隠して有名な推理作家の名前(ポオ、エラリイ、ヴァンなど)で呼び合い、遊び半分のミステリ気分で合宿を楽しもうとする。しかし、ある日、一人が死体となって発見され、事態は急変する。
同じ頃、島の外でも、かつて角島で起きた過去の事件について手紙を受け取った元ミス研の人物が独自に調査を始める――。
島は外界と完全に断絶され、犯人はこの中にいる。
ミステリーなおもしろポイント
1. 完璧なクローズドサークル
- 「孤島」「通信不可」「限定された人数」…まさに鉄壁の密室空間。
- 読者も「この中の誰かが犯人だ」と確信できる構造。
2. フェアな本格推理
- トリックや動機に対して伏線が巧妙に張られていて、読み返すと「ああ、ここにヒントが…!」と気づける。
- 名探偵が出てきてすべて解決…ではなく、読者自身が推理する余地がある。
3. 衝撃のどんでん返し
- 終盤で明かされる「ある事実」が、読者の視点をひっくり返す。
- この1点だけでも読む価値あり。推理小説の醍醐味を凝縮。
4. 二重構造の物語
- 島の中で起きる殺人事件と、島の外で進む調査が交互に描かれ、少しずつ真実が明らかに。
- 二つのパートがやがて交差する展開にゾクゾクする。
5. 初心者におすすめな理由
- 登場人物が整理されていて把握しやすい
- 文体もクセが少なく読みやすいミステリー作品
- ド定番の一冊、これがおもしろいと思わないなら、ミステリーは合わないかも・・・
2.『仮面山荘殺人事件』 東野圭吾
あらすじ(ネタバレなし)
ビデオ制作会社社長の樫間高之は、婚約者である森崎朋美を自動車事故で亡くしてしまう。
数か月後、故人である朋美を偲ぶべく、山奥の別荘「仮面山荘」に、8人の男女が集まる。そこに突然、銀行強盗の逃走犯2人が押し入り、全員を人質に立てこもり事件が発生。
犯人たちは銃を持ち、緊張感の中で人質たちは監視される。しかし、事件は思わぬ方向へと転がり始める――
なんと、監視下にあるはずの山荘内で「殺人」が起こってしまうのだ。
外界から完全に遮断された中、誰がどうやって犯行を?
そして、銀行強盗の正体は本当にただの犯罪者なのか?
ミステリーなおもしろポイント
1. 強盗+殺人の二重構造
- 単なる殺人事件ではなく、人質立てこもり事件の中での殺人というひねりの効いた設定。
- 「この状況でどうやって殺せる?」というサスペンスが一気に本格推理へと変化する。
2. トリックが鮮やか
- ミステリー初心者でも気づけそうで気づけない巧妙な構成。
- 終盤の種明かしでは「あっ!」と膝を打つこと間違いなし。
3. 登場人物が整理されていて読みやすい
- 人数が多すぎず、それぞれのキャラがしっかり立っている。
- 会話や行動の描写もスムーズで、頭に入りやすい。
4. スピーディーで無駄がない構成
- どんどん先が読みたくなるテンポ感。
- 250ページ程度の短めの長編で、1〜2日で読めるのも嬉しいポイント。
5. 初心者におすすめな理由
- 難解な専門用語がなく、とにかく読みやすい
- アクションと推理のバランスがとれていて退屈しない
- ミステリーに不慣れでも「楽しかった!」と感じやすい一冊
3.『孤島パズル』 有栖川有栖
あらすじ(ネタバレなし)
推理サークルのメンバーである「有馬マリア」に招かれ、南の孤島「嘉敷島」を訪れた「江神二郎」と「有栖川有栖(アリス)(性別は男性)」。
二人はこの島に隠されたと言われる宝を探すためにやってきた。
楽しく過ごせるはずが、運悪く接近してきた台風のため全員が別荘で待機するはめに。そして、その夜事件は起きた――。
滞在中の客がライフルで撃たれる「殺人事件」が発生する。
無線機が破壊され連絡手段も無く、あと三日は帰る船も来ない絶海の孤島という閉鎖状況の中、またも事件が・・・
容疑者は島にいる限られた人数のみ。江神とアリスたちはこの謎に挑み――。
ミステリーなおもしろポイント
1. 完璧な孤島設定×本格推理
- 物理的に孤立した環境=犯人はこの中にいる!
- ミステリー好きがワクワクする「典型的クローズドサークル」
2. パズルのようなロジックとトリック
- タイトル通り、事件はまさに「パズル」。
- 論理の積み重ねで解決されるので、読者も一緒に推理する楽しさを味わえる。
3. 探偵と語り手の名コンビ
- 冷静沈着な名探偵・江神二郎 vs. 一般人視点のアリス
- ホームズ&ワトソン的な安定したバディものとしても読みやすい
4. 文体がやさしくテンポも良い
- 平易で読みやすい日本語。人物の心理描写も丁寧。
- 会話も自然でテンポが良く、頭を使いつつもスラスラ読める。
5. 初心者におすすめな理由
- 本格推理の「型」を学べる王道構成
- 適度なページ数(400ページ弱)で読みやすいミステリー作品
- アリスシリーズの第2弾でも、これ単体で読めて親しみやすい作品
4.『屍人荘の殺人』 今村昌弘
あらすじ(ネタバレなし)
大学のミステリー愛好会に所属する葉村譲と明智恭介は、部員3人というさびれたサークルで活動中。ある日、ミステリー愛好会は合宿に誘われ、葉村と明智は他大学の合宿に参加することに。
合宿先は、山奥にある「紫湛荘(しじんそう)」という洋館。そこには大学生を中心とする13人が集まっていた。ところがその夜、想定外の“ある事件”が起きて館が外界と完全に隔離される。
そして翌日、館内で「殺人事件」が発生。
“ある異変”のせいで、犯人は限られた生存者の中にいる。
状況は最悪。動機もトリックも読めない中、葉村たちは推理を始める――。
ミステリーなおもしろポイント
1. 異色のクローズドサークル
- ただの山荘では終わらない。途中でとんでもない事態が発生!
- 読み始めは王道→中盤で世界観が一変→本格推理に着地する構成が秀逸。
2. 正統派ロジックで解く本格ミステリー
- 異常な状況下にも関わらず、事件の謎解きはフェアでロジカル。
- 手がかりや伏線もきちんと回収されるので、初心者でもスッキリ読める。
3. 名探偵キャラ・剣崎比留子の存在感
- 美人で頭脳明晰、皮肉屋の女性探偵がストーリーを引き締める。
- 相棒の葉村とのバディ感も魅力的で、キャラミステリとしても楽しめる。
4. 映画化されるほどの大ヒット作
- 2019年に浜辺美波主演で映画化され、一般層にも話題に。
- ミステリー入門としての間口が広く、読みやすい。
5. 初心者におすすめな理由
- ストーリーが「展開で読ませるタイプ」なので一気読みしやすい
- 異変あり→でもちゃんと本格推理、というバランスのよさ
- キャラと会話が軽快で、堅苦しさがない
5.『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティ
あらすじ(ネタバレなし)
ある日、見知らぬ大富豪からの招待状を受け取り、10人の男女が孤島に集められる。彼らは年齢も職業もバラバラで、お互い面識もない。
しかしその夜、突然スピーカーから「お前たちは過去に罪を犯した」という声が流れ、それぞれがある“死”に関与していたことが暴かれる。
直後、1人が毒を飲んで死に、続いて2人目、3人目……と次々と死んでいく。
島には他に誰もいない。
犯人はこの10人の中にいる――いや、果たして犯人など存在するのか?
壁には「10人の兵隊」の童謡が飾られ、それになぞらえて1人、また1人と命を落としていく――。
ミステリーなおもしろポイント
1. 究極のクローズドサークル
- 島、嵐、連絡手段なし。逃げ場も助けもゼロ。
- 誰が犯人かもわからない、極限状態での心理戦がスリリング。
2. 天才的な構成と伏線
- 死の順番は童謡になぞらえて進行し、そのルールに沿っていながらも予測不能。
- ラストのどんでん返しは、推理小説史に残る衝撃と評価されるほど。
3. 読者自身も孤立する体験型ミステリー
- 登場人物と一緒に「誰が犯人なんだ?」と疑心暗鬼になっていく感覚が味わえる。
- 読んでいて常に緊張感があり、ページをめくる手が止まらない。
4. 読みやすく簡潔な文体
- 英国文学だけど翻訳がこなれており、初心者でもスッと読める。
- 登場人物は多いが、性格や特徴が明確で混乱しにくい。
5. 初心者におすすめな理由
- 謎がシンプルでわかりやすく、引き込まれやすい
- 世界的に有名で一度は読むべき作品
- ミステリーの教科書にして最高峰と実感できる完成度
まとめ

クローズドサークル本格推理ミステリーは、その特異な設定と緊迫感で読者を惹きつけます。
特定の場所に限られた状況で行われる犯罪と、その解決過程は、読者に強烈な興味を持たせるからです。
クローズドサークルのミステリーの魅力と奥深さに触れることができるでしょう。
「衝撃の展開」が好きなら → 『十角館』『屍人荘』『そして誰もいなくなった』
「ロジカルな謎解き」が好きなら → 『孤島パズル』『十角館』
「テンポ重視でサクッと読みたい」なら → 『仮面山荘』『屍人荘』
タイトル | 著者 | 特徴・おすすめポイント |
---|---|---|
十角館の殺人 | 綾辻行人 | 館シリーズの第1作。読者の盲点を突くどんでん返しが超有名。密室×孤島×本格推理の王道。 |
仮面山荘殺人事件 | 東野圭吾 | 銀行強盗+殺人という異色設定。短めでテンポよく、初心者でも一気読みしやすい。 |
孤島パズル | 有栖川有栖 | 江神&アリスの名コンビが論理で解く本格ミステリ。まさに「パズル」のような構成。 |
屍人荘の殺人 | 今村昌弘 | クローズドサークルに“異変”を加えた新感覚。キャラ・展開・ロジックが三位一体の傑作。 |
そして誰もいなくなった | アガサ・クリスティ | 世界的名作。極限の孤島×連続死×犯人不明。ミステリの原点にして完成形。 |