50代になって、自分のキャリアを振り返ることが増えました。

新卒の頃、私がやりたかったのは、ものづくりです。

自分で何かを作りたい。
技術を身につけたい。
エンジニアとして成長したい。

当時は、それくらいしか考えていませんでした。

ところが今は、企業DXを進める責任者として組織を作り、戦略を考え、必要な投資の承認を取り、予算やコストを見て、中途や新卒の採用にも関わっています。

経営層と話す機会も増えました。

会計、労務、人事など、新卒の頃にはほとんど知らなかった分野にも関わっています。

ものをつくる一員だった頃の自分からすると、今の仕事は想像もしていなかったものばかりです。

では、この変化を私は何と呼ぶのか。

今の私は、これを「成長」だと考えています。

そして、成長とは単に技術力が上がることでも、役職が上がることでもないと思っています。

私が今、仕事を振り返るときに見るのは、

どれだけ大きな責任を背負ってきたか。

そこです。

だから私は、

仕事とは、自分の成長記録

だと考えています。

技術派遣時代に学んだのは、技術だけではなかった

社会人になってしばらくは、技術派遣のエンジニアとして、いろいろな職場に派遣されました。

私が技術派遣のエンジニアとして社会人生活を始めた経緯については、
就職氷河期にメーカー全滅。それでもエンジニアになった私の社会人生活の始まり
で詳しく書いています。

職場が変われば、使う技術も変わります。

仕事の進め方も違います。

人間関係も、一から作り直しです。

当時は大変だと感じることも多かったですが、今振り返ると、あの経験は自分をかなり成長させてくれました。

特に大きかったのは、多くの人と出会えたことです。

技術的に優れた人。

周囲から信頼される人。

説明が上手な人。

逆に、技術はすごいけれど、一緒に仕事をしたいとは思えない人もいました。

良い手本にも出会いましたし、悪い手本にも出会いました。

そうした人たちを見ているうちに、私は少しずつ考えるようになりました。

技術力だけでは、「一緒に仕事をしたいエンジニア」にはなれないのではないか。

当時の私は、

技術力50%、人間性50%で100%。

そんな感覚で、自分なりの理想のエンジニア像を考えていました。

もちろん、実際に50対50で測れるわけではありません。

それでも、技術だけを伸ばせばよいわけではない。

人としてどう振る舞うかも、仕事の力の一部だと思うようになったのです。

技術力だけでなく、人を見ることを大切にするようになった背景については、
「技術より人を見ろ」20年以上エンジニアをしてたどり着いた仕事の教訓
で詳しく書いています。

振り返ると、この頃に身につけた技術力や人との関わり方が、その後、より大きな責任を任されるための土台になっていました。

リーダーになって、「人がついてくる人」を考えるようになった

その後、リーダーとして仕事をするようになると、自分一人の技術力だけでは仕事が進まなくなりました。

メンバーに動いてもらう必要があります。

協力してもらう必要があります。

そのときに役に立ったのが、それまで多くの人を見てきた経験と、読書から得た知識でした。

どういう人に人望があるのか。

どういう人なら、周囲が「この人についていきたい」と思うのか。

私なりに考え続けました。

その中で強く意識するようになったのが、

まずリーダー自身が行動で示すこと。

でした。

自分は難しいことから逃げているのに、メンバーにだけ「挑戦しろ」と言っても説得力はありません。

だから、自分自身が動く。

必要なら前に出る。

困っている人がいれば助ける。

そのうえで、技術力と人間性の両方を使って、メンバーとの信頼関係を作る。

リーダー時代は、そういうことを強く意識していました。

そして、リーダーとして責任を持つようになったことで、必要とされる能力も増えていきました。

技術だけではなく、人を動かすこと。

判断すること。

自分の言葉に責任を持つこと。

より大きな責任を背負うために、必要なものが増えていったのだと思います。

技術派遣からメーカーへ転職し、より大きな役割を目指した経緯については、
技術派遣からメーカーへ転職した理由
で詳しく書いています。

管理職になると、見える世界が大きく変わった

管理職になると、さらに仕事の範囲が広がりました。

目の前の製品やチームだけではなく、組織全体を考える必要が出てきます。

どうすれば組織として勝てるのか。

どこに投資するべきか。

どれだけの予算を使えるのか。

コストはどう管理するのか。

どんな人材を採用するのか。

そうしたことを考えるようになりました。

中途採用や新卒採用にも関わりました。

人を採るということは、その人の人生にも、その後の組織にも影響します。

判断を誤れば、大きな影響が出る仕事です。

投資も同じです。

お金を使えばよいわけではありません。

その投資が本当に必要なのか。

何にどれだけ使うのか。

どんな効果を期待するのか。

経営層と話しながら考えるようになりました。

役割が広がると、それまで知らなかった分野にも触れるようになります。

会計。

労務。

人事。

経営。

ものをつくる一員だった頃には、ほとんど知らなかった世界です。

成長することで、仕事の難しさだけでなく、見える世界そのものが広がっていったと感じています。

そして、その背景には、より大きな責任を任されるようになったことがあります。

責任が広がったからこそ、知らなければならないことも増えたのです。

管理職になってから、私が「人を育てること」をマネジメントの中心だと考えるようになった経緯については、
「管理職になって、人を育てることを重視するようになった理由」
で詳しく書いています。

私は「仕事とは、どれだけの責任を負っているか」だと考えている

私は今、仕事とは、

どれだけの責任を負っているか

だと考えています。

成長すれば、任される仕事は難しくなっていきます。

仕事の範囲も広がります。

判断しなければならないことも増えます。

そして、それに伴って責任も重くなります。

小さな仕事であれば、失敗したときの影響も限定的です。

しかし、組織戦略や投資、採用などは、一つの判断が多くの人に影響します。

当然、プレッシャーも大きくなります。

それでも、そうした責任を任されるということは、

「この人なら任せられる」

と思ってもらえているということでもあります。

私は、大きな責任を引き受け、その中で結果を出した仕事ほど高く評価したいと考えています。

ただし、仕事である以上、成果を求めることは大前提です。

成果が出なくても、責任が重ければよいという意味ではありません。

私が言いたいのは、成長を見るときには、結果だけではなく、

どれだけ難しい責任を引き受けたか

も見たいということです。

だから私は「仕事は自分の成長記録」だと思っている

成果という言葉には、どうしても「成功した結果」という意味合いが強くあります。

でも、仕事では失敗することもあります。

大きな責任を負った仕事ほど、うまくいかなかったときの影響も大きい。

だから私は、成長を見るときに、成果だけではなく、

どれだけの責任を背負って挑戦したか

も見たいと思っています。

大きな責任を負って挑戦し、結果として失敗した。

その失敗から学び、次に生かした。

私は、そういう経験も評価したいです。

もちろん、失敗を美化したいわけではありません。

同じ失敗を繰り返さないこと。

何が足りなかったのかを考えること。

次に生かすこと。

そこまで含めて、初めて経験になります。

だから、

仕事は成果の記録であると同時に、責任の記録でもある。

そう考えています。

自分の仕事を振り返って、

5年前は何を任されていたか。

10年前はどんな責任を負っていたか。

今は何を判断しているか。

それを見ていくと、自分がどれだけ成長してきたかが見えてきます。

だから私は、

仕事とは、自分の成長記録

だと思っています。

プレッシャーや恐怖心は「成長のスパイス」

責任が大きくなれば、当然プレッシャーも大きくなります。

失敗したらどうしよう。

自分にできるだろうか。

そんな不安を感じることもあります。

でも私は、

プレッシャーや恐怖心は、成長のスパイス

だと思っています。

もちろん、それしかない環境は問題です。

毎日ずっと強いプレッシャーにさらされるような状態が、良いとは思いません。

ただ、私自身、慣れた仕事だけを続けていると、新しいことへ踏み出す勢いが弱くなると感じています。

だから私は、時には少し緊張する環境に自分を置くことも必要だと考えています。

1週間に1日でもいい。

1時間でもいい。

たとえば、自分より上の立場の人が集まる会議で説明する。

重要な判断を求められる場に出る。

新しい提案をする。

そういう場に出れば、

ミスしないように準備します。

質問されそうなことを考えます。

資料を見直します。

自分の考えを整理します。

その過程で、普段より多くのことを考えます。

私は、その時間こそが成長につながると思っています。

プレッシャーや恐怖心を感じたとき、

「今、自分は成長している」

と思えるなら、その感情は力にも変えられます。

5年前の自分と比べて、何を積み上げてきたか

私は管理職として、メンバーに聞くことがあります。

「5年前の自分と比べて、仕事の範囲は広がっている?」

「責任は重くなっている?」

と。

私は、成長を考えるときに、この問いはかなり分かりやすいと思っています。

5年前とほとんど同じ業務。

同じ役割。

同じ責任。

もしそうなら、一度、

「自分はこの5年間で何を積み上げてきたのか」

を振り返った方がよいと思います。

10年前と比べてもほとんど変わっていないのであれば、なおさらです。

もちろん、誰にでも事情があります。

仕事より家庭を優先する時期もあります。

あえて仕事の負荷を抑える時期もあります。

役職を上げず、専門性を深める道を選ぶ人もいます。

だから、役職が上がっていなければ成長していない、という意味ではありません。

見るべきなのは、肩書きではなく、

自分が何を積み上げ、どんな責任を担えるようになったか。

私はそう考えています。

そうならないためにも、私はメンバーと目標を設定し、定期的に振り返る面談をしています。

成長は、何となく働いていれば自動的に起きるものではありません。

自分がどこへ向かいたいかを考え、目標を作り、振り返る。

その繰り返しが必要だと思っています。

成長は、周囲からの信頼と未来の選択肢にも表れる

成長は、本人だけが感じるものではありません。

周囲から見ても分かるようになります。

仕事で価値を出すようになると、自然と顔と名前を覚えられるようになります。

他部署の人から、

「○○さんにとても助けられたよ」

「また○○くんと仕事したいよ」

と名前が出るようになる。

私は、そういうときに、

この人は成長しているんだな

と感じます。

周囲から相談される。

頼られる。

また一緒に仕事をしたいと言われる。

それは、本人が周囲に提供できる価値が広がっているということです。

そして、提供できる価値が広がると、任される役割も広がっていきます。

新しい役割を任されれば、知らない分野にも触れます。

知らない分野に触れれば、学ぶ必要が出てきます。

私自身、エンジニアとしてものづくりをしていた頃には、会計や労務、人事について深く考えることはほとんどありませんでした。

でも、管理職になり、経営や組織に関わるようになったことで、それらを学ぶ必要が出てきました。

責任が広がる。

知らない世界に触れる。

学ぶ。

できることが増える。

さらに次の責任を任される。

私は、この循環が成長を作っていくのだと思っています。

私は、子どもから、

「なんで勉強するの?」

と聞かれたら、

「未来の可能性を広げるためだよ」

と答えています。

これは、子どもだけの話ではありません。

大人も同じです。

50代でも、60代でも、これからまだ仕事をして、生きていきます。

知識が増えれば、できることが増えます。

できることが増えれば、選べる仕事も増えます。

選べる仕事が増えれば、人生の選択肢も広がります。

だから私は、年齢に関係なく学ぶことには意味があると思っています。

50代の今も、新しい責任の前に立っている

そして今、私は企業DXを進める責任者として、新しい挑戦の前に立っています。

そのための組織を作り、日々勉強し、調査し、外部研修にも参加しています。

では実際に、50代の今も私がどう学び続けているのかは、
50歳でも新しい技術を学び続ける|20年以上エンジニアを続けて分かった効率的な勉強法
で詳しく書いています。

まだ知らないことはたくさんあります。

新しい挑戦の前に立った今の自分は、この分野に関しては一番知識が低い状態かもしれません。

でも、私はそれを悪いことだとは思っていません。

むしろ逆です。

今が一番低いなら、あとは上がるだけ。

学べば、昨日より分かることが増えます。

経験すれば、判断できることが増えます。

知らない世界に挑戦している以上、成長する余地しかありません。

そう考えると、

成長することが約束されているようなもの

だと思っています。

50代になっても、新しい技術を学ぶとワクワクします。

若い頃と変わらず、

「これはどうなっているんだろう」

「もっと知りたい」

と思いながら仕事ができる。

私は、それができれば文句なしだと思っています。

まとめ|成長とは、背負える責任を大きくしていくこと

エンジニアとして長く働いてきて、私の仕事は大きく変わりました。

技術派遣社員として、さまざまな職場と人から学んだ時代。

技術力と人間性の両方を意識しながら、リーダーとして人を動かした時代。

管理職として、組織戦略や投資、予算、採用まで考えるようになった今。

振り返ると、

できることが増えました。

見える世界が広がりました。

関わる人が増えました。

そして、背負う責任が大きくなりました。

だから今の私は、

成長とは、より大きな責任を背負えるようになること

だと考えています。

技術力も、人間性も、リーダーシップも、経営の知識も。

それらはすべて、より大きな責任を引き受けるために必要になってきたものです。

昇進だけが成長ではありません。

年収だけでもありません。

専門性を深めることも成長です。

周囲から頼られることも成長です。

これまでできなかった判断ができるようになることも成長です。

大切なのは、

5年前の自分より、今の自分は何を背負えるようになったか。

そして、

これから、何を背負える自分になりたいか。

だと思っています。

だから、

仕事とは、自分の成長記録。

過去の仕事を振り返れば、自分が何を学び、何を任され、どんな責任を背負ってきたのかが見えてきます。

そして、これからも学び続ければ、未来の可能性は広げられる。

50代でも、60代でも。

若い頃と変わらず、新しい技術にワクワクしながら仕事ができれば、私は文句なしです。

今日の一歩

5年前の自分と比べて、

  • 仕事の範囲はどう広がったか
  • どんな責任を新しく背負うようになったか
  • 周囲から求められることはどう変わったか

この3つを書き出してみてください。

もしほとんど変わっていないと感じたなら、それは失敗ではありません。

次の5年で、どんな責任を背負える自分になりたいか。

そこから考えてみてください。