50歳でも新しい技術を学び続ける|20年以上エンジニアを続けて分かった効率的な勉強法

50歳になった今でも、私は新しい技術を学び続けています。
最近では、企業DXを進める仕事の中で、AIやクラウド、データ活用など、それまで十分に知らなかった分野を学ぶ機会も増えました。
ただ、20代の頃と比べると、正直なところ、覚えにくくなったと感じます。
長時間集中するのもきつい。
疲れも出やすい。
仕事の範囲が広がったことで、勉強に使える時間も限られています。
それでも、学び続けることはできます。
むしろ、長く仕事をしてきたからこそ、
若い頃と同じ勉強法を続ける必要はない
と分かるようになりました。
若手には若手の学び方があります。
中堅には中堅の学び方があります。
そして、40代後半や50代には、経験や体力に合わせた学び方があります。
私が20年以上エンジニアを続ける中でたどり着いたのは、
たくさん勉強することより、必要なことを絞り、行動しながら理解を深める方が効率的
という考えです。
この記事では、私自身の学び方が、若手、中堅、50代とどう変わってきたのかを振り返ります。
若手の最大の武器は「知らなくて当然」であること

若手の頃の私は、「習うより慣れろ」という感覚で学んでいました。
現場で必要になったことを、その都度覚える。
分からなければ先輩社員に聞く。
実際に手を動かす。
失敗しながら覚える。
私が若手時代に現場で学ぶ力を身につけていった背景については、
就職氷河期にメーカー全滅。それでもエンジニアになった私の社会人生活の始まり
で詳しく書いています。
今振り返ると、若手には非常に大きな武器があります。
それは、
知らなくて当然だということ。
です。
分からないことがあれば、どんどん聞けばいい。
ときには恥ずかしい思いをすることもあります。
それでも、分からないことを隠すより、聞いて一つ覚えた方が自分の力になります。
若手の頃は、分からないことを素直に聞ける時期です。
だからこそ、その武器を使った方がいい。
ところが、中堅やベテランになると、これが難しくなることがあります。
経験が増える。
周囲からも「知っている人」と見られる。
すると、
「今さらこんなことを聞いたら恥ずかしい」
という見栄やプライドが邪魔をする。
でも、知らないことは年齢や経験に関係なくあります。
分からないなら聞く。
調べる。
この姿勢は、何歳になっても失いたくないと思っています。
現場で触れ、あとから体系的に学ぶ
若手の頃は、まず現場で覚えました。
仕事で必要だから学ぶ。
先輩に教えてもらう。
手を動かして理解する。
ただし、現場で得られる知識は、どうしても断片的になりやすいです。
この作業ではこうする。
このトラブルではこう対応する。
この製品ではこの方法を使う。
実務には強くなりますが、
「なぜそうするのか」
「全体の中でどこに位置づくのか」
までは理解できていないこともあります。
そこで私は、現場で得た知識を、あとから書籍やセミナーで学び直すようにしていました。
現場で断片的に覚えたことを、体系的に整理する。
すると、
「あの作業は、この理屈だったのか」
「あの先輩が言っていたことは、こういう意味だったのか」
と、知識がつながっていきます。
これは今でも同じです。
新しい技術を学ぶときも、最初からすべて理解しようとはしません。
まず小さく触ってみる。
動かしてみる。
必要性を感じたら、あとから書籍や研修で体系的に学ぶ。
私にとっては、
まず触れる。あとから整理する。
という順番が、理解しやすい学び方です。
中堅・ベテランは「全部学ばない」。目的から逆算して学ぶ
中堅やベテランになると、仕事の範囲が広がります。
自分の担当だけではなく、
チームの仕事。
他部署との調整。
後輩の支援。
判断や会議。
そうした仕事が増えていきます。
当然、勉強に使える時間は少なくなります。
だから、若い頃と同じように、何でも最初から最後まで勉強するのは効率がよくありません。
一方で、経験は増えています。
基礎知識もあります。
似たような技術や考え方に触れたこともあります。
そのため、必要な部分だけ調べれば理解できることが増えてきます。
本を読む場合でも、必要な章だけ読む。
ネットで概要を調べる。
分からない部分だけ深掘りする。
私は、
学ぶ量を増やすより、学ぶ対象を絞る
ことを意識しています。
そして、何を学ぶかを決めるときは、技術そのものから考えません。
まず、業務の目的から考えます。
たとえば、
「この業務を自動化したい」
「この情報をもっと活用したい」
「この仕組みをクラウド化したい」
という目的があるとします。
その目的を実現する方法を調べていくと、
技術名。
製品名。
サービス名。
考え方。
関連するキーワード。
が見えてきます。
その中から、現実的に使えそうな手段を絞る。
手段が決まれば、
「これを実現するために必要な技術は何か」
が見えてきます。
そこで初めて、必要な技術を深く学びます。
私にとって、
勉強の目的は、知識を増やすことではなく、業務の目的を実現すること。
です。
その順番にすると、不要な勉強をかなり減らせます。
また、チームの中に詳しい人がいるなら、その分野をすべて自分で学ぼうとはしません。
チームの中で誰がどの分野に強いかを把握する考え方については、
職場の「人間マップ」を作る
で詳しく書いています。
もちろん、判断や会話に必要な最低限の理解は持ちます。
そのうえで、専門家と同じ深さまで自分が学ぶ必要はないと考えています。
その分、自分はチームとして不足している知識を学ぶ。
自分一人ですべてを知るより、
チームとして必要な知識がそろっていること
の方が大切です。
自分一人ですべてを抱え込まず、チームとして強くなる考え方については、
部下に任せる仕事術
でも詳しく書いています。
50代は暗記より「考え方」を理解する
50代になって、若い頃より覚えにくくなったと感じます。
新しい用語。
数字。
細かい手順。
一度覚えたと思っても、しばらくすると忘れてしまうことがあります。
だから私は、暗記することよりも、
理屈や考え方を理解すること
を重視するようになりました。
たとえば数学の公式なら、公式そのものを覚えるだけではなく、
「なぜこの公式になるのか」
「どんな考え方で導かれているのか」
を理解する。
そうすれば、公式を忘れてしまっても、少なくとも、
「何を調べればよいか」
「どういう考え方で確認すればよいか」
が分かります。
技術でも同じです。
コマンドを全部覚える。
設定値を全部覚える。
そういうことより、
「なぜこの設定が必要なのか」
「どういう仕組みで動いているのか」
を理解する。
私は、
答えを覚えるより、答えにたどり着く道筋を理解する
ようにしています。
もちろん、最低限覚えておかなければならないこともあります。
でも、忘れることはあります。
そのときは、
「あれ、何だったかな」
と思った瞬間に調べます。
「あとで調べよう」
にはしません。
あとで調べようと思ったこと自体を忘れてしまうからです。
忘れないことより、
忘れたときにすぐ確認できる環境と習慣を持つこと
の方が、今の私には重要です。
学んだら、小さくてもすぐ行動する
私は、頭の中で考えているだけでは、学んだことを忘れやすいと感じています。
だから、できるだけ行動を伴わせます。
メモを取る。
実際に手を動かす。
小さく試す。
誰かに話す。
資料にまとめる。
行動すると、そのときの感情も一緒に残ります。
分からなくて悩んだ。
失敗した。
質問されて答えられなかった。
緊張した。
そういう経験は、ただ読んだだけの知識よりも強く記憶に残ると感じています。
特に私の場合は、成功したときより、
失敗したときの方が強く覚えている
ことが多いです。
これは性格にもよると思います。
ただ、失敗すると、
「なぜうまくいかなかったんだろう」
と必死に考えます。
その分だけ理解も深くなります。
だから私は、準備万端になるまで学び続けるより、ある程度分かった段階で一度動いてみます。
完璧になってから行動するのではなく、
行動しながら理解を深める。
それが、今の私には合っています。
人に説明する予定を入れ、プレッシャーを学習に使う

40代後半や50代になってから、特に効果があると感じている学習方法があります。
それが、
人に説明すること
です。
人に説明する場をつくり、主体性を引き出すことの大切さは、
エンジニアから管理職になって分かった「人を育てる」という仕事
でも書いています。
たとえば、チーム内で勉強会を開きます。
そして、自分が講師役になります。
人に説明するとなると、かなり準備します。
自分では分かっているつもりでも、
「なぜそうなるんですか?」
と質問されると答えられない。
説明している途中で、
「ここは自分も曖昧だな」
と気づく。
そういうことがたくさんあります。
私は、人に説明できない部分があると、
まだ理解が浅い
と判断しています。
その部分をもう一度調べる。
試す。
また説明する。
この繰り返しは、かなり効果があると感じています。
さらに、勉強会の日を先に決めてしまえば、適度なプレッシャーも生まれます。
来週、人に説明しなければならない。
質問されるかもしれない。
間違った説明はしたくない。
そう思えば、短い時間でも本気で準備します。
50代になると、若い頃のように長時間勉強するのは難しくなります。
だからこそ、
短い時間で本気になる仕組みを作る。
私は、プレッシャーも学習効率を上げる材料として使っています。
また、一度学んだことも忘れます。
そのため私は、翌日や1週間後に、
「何を覚えているか」
を一度思い出してみます。
いきなり答えを見るのではなく、まず思い出す。
思い出せなければ、もう一度確認する。
一度で完璧に覚えようとはしていません。
忘れて、思い出して、また確認する。
その繰り返しで十分だと思っています。
AIは答えではなく「学習の相棒」として使う
今は、AIも学習に使えるようになりました。
私はAIをとても便利な道具だと思っています。
ただし、
AIは魔法ではありません。覚えるのは自分です。
AIに答えを聞いて、
「なるほど」
で終わっても、自分の知識にはなりません。
だから私は、AIを答えをもらうだけの道具にはしないようにしています。
議論相手にする。
自分の理解を説明する。
「この理解で合っている?」
と確認する。
どこを深掘りすべきか意見を求める。
そうした使い方をします。
私は、
AIは学習を代わってくれるものではなく、学習を効率化する相棒
だと考えています。
また、AIも間違えることがあります。
重要な内容であれば、書籍や公式情報、信頼できる資料などでも確認します。
本当に必要な分野は、AIやネットで少し調べて終わりにせず、書籍やセミナーなどで体系的に学ぶ。
AIは入口や整理には強い。
でも、最後に理解するのは自分です。
「勉強モードON」にすぐ切り替えられる環境を作る

社会人になると、
「勉強する時間がない」
と感じることが増えます。
私も同じです。
だから私は、まず1日の中にどれくらい隙間時間があるかを確認します。
通勤時間。
待ち時間。
移動時間。
一つひとつは短くても、合計すると使える時間があります。
ただし、全部を勉強に使う必要はありません。
休む時間も大切です。
遊ぶ時間も必要です。
重要なのは、
勉強すると決めたときに、すぐ始められること。
です。
デスクに必要な本を置いておく。
PCですぐ必要な資料を開けるようにしておく。
ネット環境を整える。
勉強中はスマホを遠ざける。
「さあ勉強しよう」
と思ってから準備するのではなく、勉強モードをすぐONにできる状態を作っておく。
私は、やる気を待つより、
すぐ始められる環境と習慣を作ること
の方が重要だと思っています。
長時間勉強する必要もありません。
休日なら1時間でもいい。
集中力が切れたら休む。
勉強モードをOFFにしたら、趣味でも遊びでも全力で楽しむ。
ずっと勉強し続けるのではなく、
学ぶときは学ぶ。遊ぶときは遊ぶ。
その切り替えを大切にしています。
まとめ|ほんの少しの努力が、20年後には大きな差になる
50歳になった今、若い頃より強く感じることがあります。
それは、
時間は何よりも貴重
だということです。
20代の頃は、時間がたくさんあるように感じていました。
でも、振り返ると20年はあっという間です。
だからといって、毎日何時間も勉強しなければならないとは思いません。
通勤時間でもいい。
待ち時間でもいい。
休日の1時間でもいい。
ほんの少しでも、学ぶ時間を積み重ねる。
私は、その小さな差が長い時間をかけて大きくなっていくと感じています。
若手の頃は、知らないことを恥ずかしがらず聞く。
現場で触れ、あとから体系的に整理する。
経験が増えたら、目的から逆算して必要なことだけ学ぶ。
50代になったら、暗記だけに頼らず、理屈や考え方を理解する。
学んだら、すぐ行動する。
人に説明して、自分の理解の穴を見つける。
そして、いつでも勉強モードをONにできる環境を作る。
私の勉強法は、年齢とともに変わってきました。
でも、一つだけ変わっていません。
学ぶことをやめない。
ということです。
私が「なぜ学び続けるのか」をどう考えているかは、
エンジニアの成長とは何か?50代になって考える「仕事は自分の成長記録」
で詳しく書いています。
私は、難しいことを勉強しろと言いたいわけではありません。
大切なのは、少しでも続けられる形を作ることだと思っています。
勉強するときは集中して学ぶ。
遊ぶときは全力で遊ぶ。
その繰り返しでいい。
ほんの少しの努力の積み重ねが、20年後には大きな差になっている。
50歳になった今、私はそう感じています。
今日の一歩

今日、自分が仕事で実現したいことを一つ決めてください。
そして、
それを実現するために、今の自分に足りない知識は何か。
を一つだけ調べてみてください。
全部を学ぶ必要はありません。
まず必要な一つだけ。
そして、15分でもいいので、実際に手を動かしてみてください。
そこから学びを始めれば十分です。
