管理職になりたくないエンジニアはどうすればいい?技術者として働き続けるために考えたいこと

エンジニアとして働いていると、
「この先、管理職にならないといけないのか」
と考える瞬間があります。
技術が好きでエンジニアになった。
モノづくりを続けたい。
自分で手を動かしていたい。
人の面倒を見るより、技術を深めたい。
そう思っている人にとって、管理職はあまり魅力的に見えないかもしれません。
責任も重くなります。
人の問題にも向き合わなければなりません。
自分の仕事だけに集中することもできなくなります。
だから、
「自分は管理職には向いていない」
と考える人もいると思います。
私は、すべてのエンジニアが管理職を目指す必要はないと思っています。
ただ、
やる前から「向いていない」と決めてしまうのは、少しもったいない
とも思っています。
私自身は、転職理由の一つに、
「リーダーになりたい」
「管理職を目指したい」
という思いがありました。
でも、自分が本当に管理職に向いているかどうかは分かっていませんでした。
それでも挑戦したのは、
やらずに後悔するより、やって後悔したい
と思ったからです。
この記事では、
管理職になりたくないと感じているエンジニアが、どう考えればよいのか。
管理職を目指すべきか、それとも技術者として進むべきか。
私自身の経験をもとに考えてみます。
管理職になりたくないエンジニアは珍しくない
私の周囲を見ていると、最初から「管理職になりたい」と強く考えているエンジニアは、少数派のように感じます。
技術が好きだからエンジニアになった。
モノを作るのが好き。
設計や開発そのものに面白さを感じる。
そういう人にとっては、
人や組織を見る仕事より、自分で手を動かす仕事の方が魅力的なのは自然だと思います。
管理職になると、
技術だけを見ていればよいわけではありません。
人を見る。
チームを見る。
進捗を見る。
問題を見る。
他部門との調整をする。
上司への報告もする。
部下の失敗にも向き合う。
そうなると、自分でコードを書いたり、設計したり、モノを作ったりする時間は減っていきます。
だから、
「管理職になったら技術から離れてしまうのではないか」
と不安になるのも分かります。
ただ、
管理職になった瞬間に、技術者ではなくなるわけではありません。
私自身も、リーダーやマネージャーになってからしばらくは、プレイヤーを兼ねていました。
管理職になっても、モノづくりは続けたいと思っていました。
ただし、組織のトップになると、さすがに自分で手を動かしているだけでは回らなくなりました。
そこからは、
自分で成果を出すより、人を通じて成果を出す
ことに力を入れなければならなくなりました。
エンジニアから管理職になり、「人を育てること」が仕事になった経験は、
エンジニアから管理職になって分かった『人を育てる』という仕事
の記事でも詳しく書いています。
管理職になると、少しずつ仕事の中心が変わっていきます。
私が管理職を目指した理由は「理想のリーダー」がいたから

私が管理職を目指したのは、
肩書きが欲しかったからではありません。
尊敬するリーダーと出会ったことが大きなきっかけでした。
その人を見て、
「こういうリーダーになりたい」
と思いました。
だから、
管理職という職位そのものではなく、
自分の中に理想のリーダー像があった
という方が近いです。
ただ、
自分がそこに向いているかどうかは分かりませんでした。
人をまとめられるのか。
チームを引っ張れるのか。
失敗したときに責任を取れるのか。
全部、やってみないと分からないことでした。
そこで私は、
向いているかどうかを考え続けるより、
まず挑戦してみようと考えました。
失敗してもいい。
恥をかいてもいい。
やってみて「やっぱり向いていない」と分かれば、それも一つの答えです。
管理職になって一番変わるのは「責任の範囲」
実際にリーダーになって、強く意識したことがあります。
それは、
責任の取り方が変わる
ということです。
プレイヤーのときは、
基本的に自分の仕事に責任を持ちます。
自分の設計。
自分の実装。
自分の判断。
自分の成果。
もちろんチームで仕事をしているので、完全に一人ではありません。
それでも、責任の中心は自分です。
ところがリーダーになると、
チーム全体に責任を持つことになります。
メンバーの失敗。
メンバーの判断。
進捗の遅れ。
チームの結果。
それらも含めて、上司からはリーダーである自分に責任が求められます。
ここで、
「それは本人の失敗だから」
と切り離してしまうと、チーム運営はうまくいかないと思っています。
メンバーの失敗も、
リーダーである自分の失敗として受け止める
必要があります。
これはかなり重いです。
一方で、管理職になった当初は「自分でやった方が早い」と仕事を抱え込んでしまった失敗もありました。
『自分がやった方が早い』をやめた理由|仕事を任せられなかった管理職の失敗
だから、
管理職になりたくないと感じる人の気持ちも理解できます。
責任だけを考えれば、かなりヘビーな仕事です。
それでも、管理職にしか見えない景色がある
ただ、
大変なことばかりではありません。
リーダーになると、
見える範囲が変わります。
プレイヤーのときは、自分の仕事を見る。
リーダーになると、チーム全体を見る。
さらに上の立場になると、
他部門を見る。
組織を見る。
会社全体を見る。
少しずつ、
視野が広がり、
視座も高くなっていきます。
これは、
実際にその立場にならないと分からない感覚だと思います。
そして、
チームで成果を出したときの達成感は大きいです。
自分一人で成果を出したときとは、また違います。
個人の成果は、自分の努力が形になった喜びです。
チームの成果は、
いろいろな個性を持つ人が、
一つの方向を向いて、
力を合わせた結果です。
私は、
チームで成果を出したときの達成感は、個人で成果を出したときより何倍も大きい
と感じました。
責任は重い。
でも、
その責任を背負った人にしか見えない景色もあります。
「向いていない」は、やってから判断しても遅くない
「自分は管理職に向いていない」
そう考える人もいると思います。
もちろん、
実際に向いていない場合もあります。
人には適性があります。
無理に管理職になる必要はありません。
ただ、
まだ経験していない段階で、
「自分には向いていない」
と決めてしまうのは、もったいないと思います。
もしかすると、
向いていないのではなく、
失敗するのが怖いだけかもしれません。
恥をかきたくない。
評価を落としたくない。
プライドを傷つけたくない。
自分の実力が明らかになるのが怖い。
そんな気持ちが、
「向いていない」
という言葉に置き換わっていることもあるかもしれません。
私自身、
管理職に向いているかどうかは今でも分かりません。
でも、
挑戦したことで分かったことはたくさんあります。
うまくできたこと。
できなかったこと。
得意だったこと。
苦手だったこと。
それらはすべて、
次のキャリアを考える材料になります。
もし実際にやってみて、
「やはり自分には合わない」
と分かったなら、それにも意味があります。
人をまとめる仕事より、
技術を深める方が好きだった。
調整より、
モノづくりの方が楽しい。
人の責任まで背負うより、
専門性で価値を出したい。
そう分かったなら、
次のキャリアプランを考えやすくなります。
だから私は、
向いているかどうかは、考えるだけでは分からない
と思っています。
50代エンジニアのキャリアプランも参考になると思います。
50代エンジニアが考える「キャリアプラン」|役職や年収を目標にしなくてもいい
管理職に向いているか試すなら、まず会議を任されてみる

では、
いきなり正式な管理職になる前に、
何をすればよいのか。
私がおすすめしたいのは、
会議のファシリテーターをやってみること
です。
私自身も、進捗会議の司会やファシリテーターを担当していました。
そこでやっていたのは、
メンバーの進捗を確認する。
問題点を指摘する。
必要な議論を促す。
話が発散しそうになったら整理する。
異なる意見の良いところを拾う。
一つの結論にまとめる。
そして、
チームを同じ方向へ向ける。
ということです。
今振り返ると、
これは小さなマネジメントそのものだったと思います。
個性豊かなメンバーの意見を聞きながら、
一つの方向にまとめる。
そこで私は、
自分の強みである調和力も鍛えられたと思っています。
当時の上司も、
そうした姿を見て、
「リーダーを任せてみよう」
と判断したのではないかと思います。
ファシリテーターをすると、自分の適性が少し見えてくる
会議のファシリテーターをすると、
人をまとめる仕事が自分に合っているかどうかが少し見えてきます。
たとえば、
人の話を聞くことが苦ではないか。
異なる意見を整理できるか。
感情的にならずに議論を進められるか。
問題点を見つけて指摘できるか。
一つの結論に導けるか。
全員を同じ方向へ向けることに面白さを感じるか。
こうしたことは、
本を読むだけでは分かりません。
実際にやってみることで分かります。
もし、
議論をまとめるのが面白い。
人が成長するのを見るのがうれしい。
チームで成果を出すことに達成感を感じる。
そう思えるなら、
管理職という役割に面白さを感じられる可能性があります。
逆に、
やってみた結果、
「自分はやはり技術を深めている方が楽しい」
と感じるなら、それも大事な発見です。
管理職だけがキャリアの正解ではない

何が何でも、
リーダー。
管理職。
それだけがエンジニアの目指す道ではありません。
人には適性があります。
スペシャリストとして、
技術を深め、
その専門性で成果を出す道もあります。
私は、
その道も十分に価値があると思っています。
どちらの道を選ぶにしても、自分の市場価値をどう作るかは、
エンジニアの市場価値とは?技術力だけではないと考える理由
の記事で考えています。
大事なのは、
管理職にならないことではありません。
自分がどのような形で価値を出したいのかを理解することです。
人を通じて成果を出すのか。
技術で成果を出すのか。
どちらが上という話ではありません。
一度小さく経験してみる。
その上で、
自分に合う道を選べばよいと思います。
管理職として仕事を抱え込まず、組織全体を見るために考えるようになったことは、
私が『組織で一番暇な管理職』を目指す理由
で書いています。
技術職がもっと評価される会社であってほしい
一方で、
これは技術者側だけの問題ではないとも思っています。
私がこれまで見てきた範囲では、
管理職のキャリアは比較的分かりやすいです。
主任。
課長。
部長。
さらに上の役職。
責任やレベルが、ある程度見える形になっています。
一方、
技術職やスペシャリストについては、
どのレベルになればどのように評価されるのか。
どこまで技術を高めれば、どのような待遇になるのか。
そうした定義が、管理職ほど明確ではない企業もあります。
その結果、
「給与や役割を上げたいなら管理職になるしかない」
という構造になると、
本来は技術で強みを発揮する人まで管理職を目指すことになります。
それは、
本人にとっても、
組織にとっても、
あまり良い状態ではないと思います。
技術で大きな価値を出す人が、
管理職と同じように評価される。
そういうキャリアパスが、もっと明確になっていく必要があると私は思っています。
管理職になるかどうかだけでなく、40代・50代からのキャリアそのものに迷っている方は、
40代・50代エンジニア、このままでいいのか?キャリアに迷ったときに考えたいこと
の記事も参考にしてください。
まとめ|管理職に向いているかは、考えるだけでは分からない

管理職になりたくない。
そう思うこと自体は、悪いことではありません。
モノづくりを続けたい。
技術を深めたい。
人の責任まで背負いたくない。
そう感じるのは自然なことだと思います。
ただ、
まだ経験していないのであれば、
やる前から「向いていない」と決める必要もありません。
管理職に向いているかどうかは、
頭の中で考え続けても、なかなか答えは出ません。
まずは、小さくやってみる。
会議の司会をする。
ファシリテーターをする。
後輩の相談に乗る。
小さなチームをまとめてみる。
そこで、
人をまとめることに面白さを感じるのか。
責任を持つことにやりがいを感じるのか。
それとも、
やはり技術を深めたいと思うのか。
どちらが分かっても、意味があります。
向いていると分かることにも価値がある。
向いていないと分かることにも価値がある。
その経験は、
次のキャリアを考える材料になります。
管理職になるかどうかに迷っているなら、
まずは次の会議で、
ファシリテーターを一度引き受けてみる。
そこから始めても、十分だと思います。



