40代、50代になると、仕事にも慣れてきます。

役割もある。

責任もある。

人間関係もある程度できている。

組織の中で、自分がどう動けばいいかも分かっている。

若い頃のように、

「何をすればいいか分からない」

という状態ではなくなっている人も多いと思います。

それでも、ふと、

「このままでいいのか?」

と思うことがあります。

私自身もそうでした。

今の仕事が嫌だったわけではありません。

むしろ、ある程度うまくいっていました。

それでも不安だったのは、

5年後、10年後の自分です。

今の役職。

今の役割。

今の業務。

このまま進んでいったとき、

5年後の自分は、今より成長しているのだろうか。

そこに不安を感じていました。

この記事では、40代・50代のエンジニアが「このままでいいのか」と感じたときに、何を考え、どう動けばいいのか。

私自身の経験をもとに考えてみます。

40代・50代で怖いのは「今を守ること」が目的になること

40代・50代になると、人によってはそれなりの役割や責任を持ち、職場での立ち位置も安定してきます。

長く働いていれば、人間関係もできます。

仕事の進め方も分かります。

組織の中で、誰に何を頼めばいいか。

どこまで自分で判断していいか。

どう動けば問題になりにくいか。

そうしたことも分かってきます。

つまり、

居心地が良くなる

ということです。

もちろん、安定した環境を作ること自体は悪いことではありません。

でも私は、ここに一つ危険があると思っています。

それは、

「今の状態を守ること」が目的になってしまうことです。

今の立場。

今の評価。

今の人間関係。

今の仕事。

これを失いたくない。

だから、変化しない。

新しいことをしない。

難しいことに手を出さない。

そうなると、成長は止まりやすくなります。

さらに、周囲は止まってくれません。

技術が変わる。

仕事の進め方が変わる。

顧客の要求が変わる。

会社が変わる。

若い人も成長する。

新しい人材も入ってくる。

自分だけが同じ場所に立ち続けようとしても、周囲は動いています。

だから私は、

変化のある環境では、現状を維持するためにも一定の成長が必要だ

と考えています。

今の状態を守ろうとしているつもりでも、成長を止めれば、結果的には相対的に後ろへ下がっていくこともあります。

私は、

現状維持を選んだつもりが、実際には右肩下がりになる

ことを怖いと感じています。

私が考える「成長」とは何か

では、成長とは何でしょうか。

私は、単に知識が増えることだけではないと思っています。

資格が増える。

新しい技術を覚える。

できることが増える。

それも成長です。

でも、仕事における成長は、もう少し広いものだと考えています。

私の中では、

責任がより重くなること。

役割の範囲が広がること。

視野が広がること。

視座が高くなること。

これも成長です。

若い頃は、自分の担当業務をきちんと完了することが中心でした。

その後、

チームを見る。

組織を見る。

他部門を見る。

会社全体を見る。

というように、少しずつ見る範囲が広がっていきました。

私は、

成長とは、できることが増えるだけでなく、背負うものが増えることでもある

と思っています。

エンジニアの成長については、「エンジニアの成長とは何か?」でも詳しく書いています。

「このままでいいのか」と感じたら、主体的に動く

私が大切にしているのは、

主体的に動くこと

です。

私は仕事の中で、「自主的」と「主体的」を少し違う意味で捉えています。

自主的というのは、言われなくても自分からやること。

主体的というのは、

まだ見えていない課題まで考え、自分事として捉え、先回りして動くこと

です。

今は問題になっていない。

でも、このまま進めば将来きっと問題になる。

そのときになってから動くのでは遅い。

だから、今のうちに準備する。

私は、この考え方がキャリアにも大きく影響すると思っています。

私の場合はAIだった

私にとって、その一つがAIでした。

会社から、

「AIを勉強しろ」

と言われたわけではありません。

「AI導入を担当しろ」

と言われたわけでもありません。

それでも当時の私は、AIはこれから大きく広がっていくと考えていました。

いずれ経営層から、

「うちの会社のAI活用はどうなっている?」

と聞かれる日が来る。

そう思っていました。

だから、課題として降ってくる前に、自分で勉強しました。

実際に使いました。

業務の中にも少しずつ取り入れました。

その後、企業で生成AIを導入する側になって感じた課題については、
企業に生成AIを導入する側になって分かったこと
で詳しくまとめています。

研究した内容も、周囲や経営層へ伝えていきました。

今思えば、あのとき、

「会社から言われていないからやらない」

と考えていたら、今の役割にはつながっていなかったと思います。

行動すると、肩書きより先に「役割」ができる

AIについて学び、実際に使い、周囲へ発信していると、少しずつ、

「AIといえばあの人」

というイメージを持たれるようになりました。

最初から、AI担当という肩書きがあったわけではありません。

先に行動があり、そのあとに、周囲から見た自分の役割ができました。

さらに、取り組みや研究成果を経営層にも報告することで、その認識は上層にも広がっていきました。

そして最終的には、情報システム部門へ異動し、全社的なAI導入の専門組織が新しく立ち上がり、その責任者を任されることになりました。

5年前と比べれば、責任の範囲は大きく変わっています。

開発部門の中だけではなく、全社を見る立場になりました。

私が考える「成長」に近い形です。

ここで強く感じたのは、

キャリアは、肩書きを取りにいくことで変わるとは限らない

ということです。

役職が変わったから行動したのではなく、

行動した結果、役割があとからついてきた。

先に行動する。

周囲から見た自分の役割が変わる。

そのあとに、正式な役割や責任がついてくる。

そういうキャリアの変わり方もあります。

「嫌だな」「めんどくさいな」は成長のサインかもしれない

新しいことに挑戦するとき、気分が良いとは限りません。

むしろ、

「嫌だな」

「面倒だな」

と思うことの方が多いです。

分からない。

失敗するかもしれない。

時間がかかる。

人に聞かなければならない。

今まで通用していた自分のやり方が通じない。

だから、拒否感が出ます。

ただし、嫌なことなら何でもやればいい、という話ではありません。

「嫌だな」「めんどくさいな」と感じることすべてが、成長につながるわけではありません。

でも、

本当は必要だと分かっている。

やった方がいいと分かっている。

それなのに避けている。

そういう課題の中には、自分を一段成長させるものがあります。

私は、

必要だと分かっているのに避けていること

に、あえて手をつけるようにしています。

未知の仕事。

新しい技術。

新しい人間関係。

誰もやりたがらない課題。

そういうものは、今までの自分の慣れた範囲の外側にあることが多いです。

その外側に出ることが、成長につながると考えています。

新しい技術を学ぼうとしても続かない理由については、「新しい技術の勉強が続かない理由」でも考えています。

キャリアに迷ったとき、いきなり転職しなくていい

「このままでいいのか」

と思ったとき、すぐに転職を考える人もいると思います。

資格を取ろう。

副業を始めよう。

独立しよう。

そう考えることもあるでしょう。

もちろん、それが必要な場合もあります。

でも、私はいきなり大きな決断をする必要はないと思っています。

私自身も、以前「このままでいいのか」と考え、技術派遣からメーカーへ転職した経験があります。

まずは、今いる場所をよく見る。

自分の仕事を見る。

職場を見る。

周囲を見る。

自分自身を見る。

そして、

本当はやるべきなのに、後回しにしていることはないか

を探します。

そこに、次のキャリアにつながるものがあるかもしれません。

明日からできる最初の一歩

もし、

「このままでいいのか不安です。でも何をすればいいか分かりません」

と相談されたら、私はまず、

よく観察してください

と答えます。

職場でもいい。

自分の仕事でもいい。

身の回りでもいい。

本当は、これを改善した方がいい。

誰かがやった方がいい。

この問題はいずれ大きくなる。

でも、みんな後回しにしている。

そんなものがないか探してみてください。

そして、大きなことをする必要はありません。

小さなことでいいです。

少し、

「嫌だな」

「面倒だな」

と思うことを一つ選ぶ。

ただし、

本当は必要だと分かっていること

を選んでください。

そして、自分から手をつけてみる。

私は、その小さな行動が、数年後のキャリアを変えることがあると思っています。

私にとっては、それがAIでした。

最初から、全社のAI導入組織を率いる未来が見えていたわけではありません。

ただ、

将来必要になると思ったことを、少し早く始めただけです。

まとめ|未来の不安は、未来を考えて今動くことでしか減らせない

40代・50代になると、仕事も生活も、ある程度安定してきます。

だからこそ、

「このままでいいのか」

という不安は、若い頃とは違う形で現れます。

私が不安だったのは、今の自分ではありませんでした。

5年後、10年後の自分です。

今より責任が広がっているのか。

視野は広がっているのか。

新しいことに挑戦しているのか。

それとも、今と同じ場所を守ることだけを考えているのか。

未来のことは分かりません。

でも、未来を予測して、今から動くことはできます。

大きな決断をする必要はありません。

まずは、

本当はやるべきなのに、後回しにしている小さなことを一つやってみる。

「嫌だな」

「面倒だな」

と思うことの中に、次の成長のきっかけがあるかもしれません。

私は、キャリアに迷ったときこそ、

まず動くことが大切だ

と思っています。