私は年間130冊ほど本を読みます。

読書の原点は、小学生の頃に読んだ江戸川乱歩の『怪人二十面相』でした。

そこからミステリー小説が好きになり、本を読むこと自体が自然な習慣になりました。

私は昭和生まれの50代です。

学生時代、何かを調べたいと思ったときに使う場所といえば、図書館でした。

今のようにスマホもネットもありません。

分からないことがあれば、本を探す。

必要な情報が載っていそうな本を開く。

何冊か見比べながら、自分なりに答えを探す。

そういうことを普通にやっていました。

今は情報を得る方法が大きく変わりました。

ネットもあります。

AIもあります。

それでも私は、今も本を読み続けています。

では、なぜ本を読むのか。

私が今、一番大きいと感じている理由は、

本は、先人の経験を借りて、自分で考えるためのものだから

です。

原点は、小学生の頃に読んだ『怪人二十面相』

私が本を好きになったきっかけは、小学生の頃に読んだ『怪人二十面相』でした。

ミステリー小説の世界が面白くて、その後もいろいろな作品を読むようになりました。

当時は、今のように「読書で成長しよう」と考えていたわけではありません。

ただ面白いから読む。

続きを知りたいから読む。

それだけでした。

でも、今振り返ると、その頃に「本を開くことへの抵抗がない状態」ができたことは大きかったと思います。

学生時代も、調べものをするなら図書館。

本を探し、必要な情報を見つける。

分からないことがあれば、別の本も見る。

そういう習慣が自然と身についていました。

今はネットもAIもあります。

それでも、本を読んで調べることは、私にとって今も特別なことではありません。

ネットやAIと、本をどう使い分けているか

ネットやAIは、とても便利です。

知りたい言葉を調べれば、すぐに概要が分かります。

複数の情報を整理したり、比較したりするのにも向いています。

だから私は、最初の入口としてネットやAIを使うことがあります。

ただし、本当に理解したいテーマについては、それだけで終わらせないことも多いです。

特に、

リーダーシップ。

マネジメント。

技術。

組織。

こうした仕事に直接影響するテーマは、書籍でも学ぶようにしています。

私は、書籍を、

一つのテーマを体系的に理解するための、信頼できる情報源の一つ

として使っています。

もちろん、書籍だから必ず正しいとは考えていません。

著者の考え方に偏りがあることもあります。

情報が古くなることもあります。

特に技術分野では、公式ドキュメントや最新情報を確認した方がよい場合もあります。

それでも書籍には、

なぜそう考えるのか。

どんな背景があるのか。

どこからどこまでが前提なのか。

といった流れがまとめられていることが多い。

だから私は、

ネットやAIで概要をつかみ、必要なら書籍で体系的に理解し、技術分野では公式情報も確認する。

という使い分けをしています。

本を読むと、自分の考えを言葉にしやすくなる

本を読み続けていて、分かりやすく感じる変化の一つが、

言葉が増えること

です。

言葉が増えると、自分の考えを表現しやすくなります。

なんとなく感じていたこと。

うまく説明できなかった違和感。

自分の中にはあるけれど、言葉にできなかった考え。

それが、少しずつ言葉にできるようになります。

これは仕事でもかなり役に立っています。

意見を求められたとき。

問題について考えを聞かれたとき。

誰かに説明するとき。

自分が考えていることを言葉にできなければ、相手には伝わりません。

読書によって語彙や表現が増えることで、

自分の考えそのものを整理しやすくなった

と感じています。

知識を増やすだけではなく、

自分が何を考えているのかを、自分自身で理解するためにも本は役に立つ。

私はそう思っています。

本は、先人の経験を借りるために読む

私が本を読む理由として、もっとも大きいのはこれです。

先人の経験を借りられる。

人生では、何度かステージが変わります。

私の場合もそうでした。

エンジニアとして働いていた頃。

リーダーになった頃。

管理職になった頃。

管理職になってからは、人を育てること自体が仕事の中心だと考えるようになりました。それについては、
「エンジニアから管理職になって分かった『人を育てる』という仕事」
で詳しく書いています。

それぞれのタイミングで、今までの経験だけでは答えを出せない問題にぶつかりました。

リーダーになれば、

どうすれば人がついてくるのか。

どう任せればよいのか。

どう注意すればよいのか。

どうチームを動かせばよいのか。

管理職になれば、

どう組織を強くするのか。

どう人を育てるのか。

どう評価するのか。

どう判断するのか。

それまで自分が経験したことのない問題が、一気に増えます。

人生のステージが変わると、今までの経験だけでは答えが出せない問題にぶつかる。

そんなとき、私は本を読みます。

なぜなら、自分より前に、同じようなことで悩んだ人がたくさんいるからです。

その人たちは、

悩んで。

試して。

失敗して。

考えて。

また試して。

その経験や考えを、本に残してくれています。

自分では経験していないことでも、先人の経験から考える材料を得ることができます。

これは読書のとても大きな価値だと思っています。

本の答えをそのまま使わず、最低3冊を比べる

私は、本に書いてあることを、そのまま正解として使うわけではありません。

たとえば、リーダーシップについて書かれた本を読んだとします。

そこに、

「こうすべきだ」

と書かれていても、そのまま自分の職場に当てはまるとは限りません。

会社も違います。

組織も違います。

メンバーの性格も違います。

自分自身の性格も違います。

だから私は、本を読みながら、

「確かに、これは自分にも合いそうだ」

「これは自分の組織では少し違うな」

「この部分なら使えそうだ」

と、自分の環境に置き換えて考えます。

そして、仕事上の悩みについて本で調べるときは、同じテーマの本を最低でも3冊は読むようにしています。

長く読まれている本。

その分野でよく名前が挙がる本。

有名な本。

そうしたものを優先します。

1冊だけ読むと、その著者の考えが強く残ります。

でも、複数冊読むと違いが見えてきます。

Aという著者はこう言っている。

Bという著者は少し違う。

Cという著者は別の角度から説明している。

一方で、

「この考えは、どの本にも出てくるな」

という共通点も見つかります。

私は、そういう共通して出てくる考えについては、

自分の中で信頼度の高い考え

として残すようにしています。

絶対的な正解だとは思いません。

ただ、複数の先人が似たことを言っているなら、一度は真剣に考える価値がある。

そう捉えています。

著者によって意見が違うなら、引き出しを増やす

本によって、意見が違うこともあります。

リーダーは厳しくあるべきだという本。

部下を信じて任せるべきだという本。

すぐ介入すべきだという本。

本人に考えさせるべきだという本。

どちらが正しいのか。

私は、絶対の正解があるとは思っていません。

だから、自分の性格や職場に合う考えを選びます。

ただし、自分にとって耳の痛い意見でも、すぐに否定はしません。

なぜそう考えるのか。

自分が避けたいだけではないか。

一度は理由を考えるようにしています。

そのうえで、

実践しやすいもの。

自分の現場に合いそうなもの。

メンバーに合いそうなもの。

を選びます。

そして、まず試します。

うまくいかなければ、別の考えを試します。

ここで重要なのは、

別の方法も知っていること。

だと思っています。

一つの方法しか知らなければ、それがうまくいかなかったときに困ります。

でも、別の考えを知っていれば、

「では次はこちらを試してみよう」

と思えます。

それだけで、仕事に少し余裕を持って向き合えます。

私にとって読書は、

正解を一つ覚えることではなく、引き出しを増やすこと

でもあります。

読んだら仕事で試し、自分の引き出しにする

私は、本を読んだだけでは、まだ自分の知識になったとは思いません。

私の中では、

読む
→ 比べる
→ 咀嚼する
→ 試す
→ 自分の考えにする

という流れがあります。

まず、自分の疑問に対して何冊か読む。

著者の考えを比べる。

自分の環境や性格に合わせて咀嚼する。

自分なりの答えを作る。

そして、

仕事で試します。

実際にやってみると、

思った通りにいくこともあります。

少し調整が必要なこともあります。

全然合わないこともあります。

それでも、試して手ごたえが得られたら、

「これは自分の考えとして使える」

と思えるようになります。

そこで初めて、自分の引き出しに入ります。

逆に、うまくいかなければ、別の本で知った考えを試す。

そうやって少しずつ、

先人の考えを、自分の経験と結びつけていく。

それが、私の読書の使い方です。

本から答えをもらうのではありません。

本を材料に、自分の答えを作る。

そこまでやって初めて、読書が仕事に生きるのだと思っています。

年間130冊は、図書館と隙間時間で読んでいる

年間130冊というと、

「いつそんなに読んでいるのですか」

と思われるかもしれません。

でも、私は読書専用に毎日何時間も確保しているわけではありません。

通勤時間。

昼休み。

寝る前。

ちょっとした待ち時間。

そうした隙間時間に読みます。

常にカバンには、そのとき読んでいる本を入れています。

1分あれば1〜2ページ読む。

10分あれば、その続きを読む。

そういう積み重ねです。

また、私はほとんどの本を図書館で借りています。

図書館なら費用をあまり気にせず、気になる本を試せます。

そして、

つまらない。

思っていた内容と違う。

今の自分には必要ない。

と感じたら、途中でやめます。

読了することが目的ではないからです。

自分の疑問に必要なものを得ることが目的。

目的に合わなければ、無理に最後まで読む必要はないと思っています。

年間100冊以上読むと、

「この本、前にも読んだな」

ということも起きるので、読んだ本はスマホアプリで記録しています。

タイトルを残す。

必要なら感想を書く。

あとから検索できるようにする。

それくらいです。

私にとって大事なのは、

本を読むための仕組みを簡単にしておくこと。

常に本を持つ。

隙間時間に読む。

図書館を使う。

合わなければやめる。

読んだ本は記録する。

このくらいの仕組みで十分です。

読書に限らず、私は年齢に合わせて学び方そのものを変えてきました。50歳になった今の勉強法については、
「50歳でも新しい技術を学び続ける」
で詳しく書いています。

まとめ|あなたの悩みの答えが本にある

私が「本を読む意味は何ですか」と聞かれたら、今ならこう答えます。

あなたの悩みの答えが、本にある。

もちろん、本を開けば自分にぴったりの正解がそのまま書いてある、という意味ではありません。

でも、

あなたの悩みは、人類初の悩みではありません。

人をどう動かすか。

仕事で失敗したらどうするか。

上司とどう付き合うか。

部下をどう育てるか。

キャリアをどう考えるか。

人生をどう生きるか。

これまで、多くの先人が同じようなことで悩んできました。

そして、

考えた。

行動した。

成功した。

失敗した。

そこから学んだ。

その経験や考えを、本に残してくれています。

自分一人の人生で経験できることには限界があります。

でも、本を読めば、自分では経験していないことについても、先人の経験から考える材料を得ることができます。

私は、それを複数の本で比べ、自分の環境に合わせて咀嚼し、仕事で試し、少しずつ自分の考えに変えてきました。

だから私にとって読書は、

先人の経験を借りて、自分で考えるためのもの

です。

しかも、図書館を使えば、お金をかけずに多くの経験や知恵に触れることができます。

そう考えると、

読書は、私にとって最もコストパフォーマンスの高い学び方の一つ

です。

今日の一歩

今、自分が一番悩んでいることを一つ書き出してみてください。

そして、そのテーマについて、

まず3冊、本を探してみてください。

書店でもいい。

図書館でもいい。

すぐ買わなくても構いません。

まず、

「この悩みについて、先人は何を考えてきたのだろう」

と探してみる。

そして、3冊の答えをそのまま信じるのではなく、

自分ならどう考えるか。

を考えてみてください。

本から答えをもらうのではありません。

本を材料に、自分の答えを作る。

そこから始めれば十分です。