AI時代にエンジニアは何を学ぶべきか?50代エンジニアが考えていること

AIの進化を見ていると、
「これから人は、何を学べばいいのか」
と考えることがあります。
プログラムはAIが書いてくれる。
調べものもできる。
設計案も出してくれる。
文章も作れる。
分析もできる。
以前なら人が時間をかけていた仕事を、AIがかなりの精度でこなすようになってきました。
では、
人はもう学ばなくてもいいのでしょうか。
私はそうは思いません。
むしろ、
AIが賢くなるほど、人は学び続ける必要がある。
そう感じています。
ただし、
学ぶ意味は少し変わってきたのかもしれません。
AIが答えを出してくれる時代に、
何でも自分で覚えることだけが目的ではない。
これからは、
AIの答えを評価し、AIと議論し、自分で判断するために学ぶ。
そんな学び方が、ますます重要になるのではないかと考えています。
そして、その学びを続ける原動力になるのが、
好奇心
です。
AI時代でも、人は学び続けなければならない

AIがどれだけ賢くなっても、
人間が学ばなくてよくなるとは思いません。
なぜなら、
自分に知識がなければ、
AIの答えを評価できないからです。
AIが何かを提案してきたとき、
それが本当に良い案なのか。
別の選択肢はないのか。
もっと良い方法はないのか。
その判断には、
人間側の知識が必要です。
AIが答えを出してくれるから、
人は何も知らなくていい。
そうなってしまうと、
AIが出したものをそのまま受け入れるだけになります。
それでは、
AIを使っているというより、
AIに従っているだけになってしまいます。
私は、
AIを使えるだけでは足りない。AIの答えを見抜ける力が必要になる。
そう考えています。
AIに従う人と、AIと議論できる人では成果が変わる
私は元プログラマーです。
今のAIを見ていると、
コード生成や修正の速さでは、
人間よりAIの方が優れていると感じる場面が増えました。
コードを書く。
修正する。
別の実装案を出す。
エラーの原因を探す。
その速さには驚かされます。
では、
プログラミング言語やアルゴリズムを、
もう学ばなくてもいいのでしょうか。
私はそうは思いません。
AIがコードを書いてくれるからこそ、
人間側に知識が必要です。
なぜこの実装なのか。
他の方法はないのか。
性能はどうか。
保守性はどうか。
本当にこの設計でいいのか。
AIとこうした話ができる人と、
「AIがそう言ったから」
とそのまま採用する人では、
成果物の品質に差が出ると思っています。
AIから、
「AとB、どちらにしますか」
と聞かれたとき、
「おすすめでお願いします」
と答えることもできます。
でも、
知識があれば、
「この条件ならBではなく、こういう方法はどうか」
と提案できます。
すると、
AI側からも、
さらに違う選択肢が出てくる。
私は、
AIに答えを出してもらうために学ぶのではなく、AIの答えをより良くするために学ぶ。
これからは、
そんな意味での学習が大切になると考えています。
AIと議論できる知識があっても、仕事で使う以上はルールや安全性も必要です。企業利用で注意していることは、
生成AIを仕事で使うときに注意すべきこと|企業利用で考えたいポイント
で詳しくまとめています。
新しい技術を理解するためにも、まず基礎を学ぶ
新しい技術が次々に登場する時代だからこそ、
私は基礎技術を大切にした方がいいと思っています。
特に新人の頃は、
自分の業務に必要な基礎技術へ、
できるだけ多くの時間を使う価値があります。
プログラミング。
アルゴリズム。
OS。
ネットワーク。
データベース。
設計。
自分の仕事に必要な分野の基礎をしっかり身につける。
新しい技術に興味を持つことも重要です。
普段からアンテナを張る。
ニュースを見る。
新しいサービスを触ってみる。
でも、
新しい技術を本当の意味で理解しようとすると、
その下にある基礎知識が必要になることが多いと感じます。
表面だけ使える。
用語だけ知っている。
それでは、
仕事で本当に使える選択肢にはなりにくい。
もし新しい技術を理解できなければ、
基礎まで戻る。
新技術だからといって、
基礎を飛ばさない。
新しい技術は、基礎技術の上に積み上がる。
私はそう考えています。
新しい技術は、興味だけで始めても続かないことがあります。目的や前提知識を確認しながら学ぶ方法については、
新しい技術の勉強が続かない理由|学ぶだけで終わらせない方法
で詳しく書いています。
経験によって、学び方は変わっていく
私自身の経験では、
新人の頃は基礎に多くの時間を使いました。
まず、
自分の仕事を理解する。
技術者として会話できる。
自分で考えて手を動かせる。
その土台を作る時期でした。
中堅になると、
基礎の上に、
別の技術や応用技術を積み上げるようになりました。
「この問題なら、この技術も使える」
と選択肢を増やしていく。
新しい技術についても、
既存技術との違いや価値を考えながら見られるようになってきました。
そして今は、
すべてを追うより、
何を深く学ぶかを選ぶ比重が大きくなっています。
概要を知れば十分なもの。
深く理解した方がいいもの。
今の自分には必要ないもの。
そうやって分ける。
私の場合、
経験を重ねるにつれて、
学ぶ量だけでなく、何を選ぶかが重要になってきました。
好奇心を、学ぶ力に変える
では、
学び続けるために何が必要なのか。
私は、
好奇心
だと思っています。
新しい技術を見て、
「これは何だろう」
と思う。
知らない言葉を見て、
調べてみたくなる。
仕事で分からないことがあれば、
理解したくなる。
そうした気持ちが、
学ぶ力につながります。
対象は、
新しい技術だけではありません。
昔からある王道の技術でもいい。
マネジメントでもいい。
コミュニケーションでもいい。
経営でもいい。
自分が知らない分野。
知識が足りない分野。
苦手な分野。
そこに興味を持てるか。
私は、
それが大きいと思っています。
AI時代に一番重要なのは、特定の技術ではなく、好奇心を学ぶ力に変え続けること。
今はそう考えています。
年齢を重ねると、若い頃と同じ方法で学ぶのが難しくなることもあります。私自身が50歳になって意識するようになった勉強法については、
50歳でも新しい技術を学び続ける|20年以上エンジニアを続けて分かった効率的な勉強法
で詳しくまとめています。
技術だけではなく、人に関する力も学ぶ

私はエンジニアとして働き始めた頃、
技術力があれば、
仕事はできると思っていました。
でも、
経験を重ねるにつれて、
そうではないことが分かりました。
仕事は、
一人では完結しません。
人と話す。
相談する。
仕事を任せる。
目的を共有する。
判断する。
チームを作る。
そして今は、
そこにAIも加わってきました。
技術を理解する力。
人を見る力。
AIを見る力。
それぞれが必要になってきています。
これからのエンジニアには、
単純な技術力だけではなく、
人やAIと一緒に成果を出す力
も重要になると思っています。
私が「技術より人を見ろ」と自分への戒めとして考えるようになった背景については、
『技術より人を見ろ』20年以上エンジニアをしてたどり着いた仕事の教訓
で詳しく書いています。
50代からの学びは「足し算」だけではない
人生は、
学び続けるものだと思っています。
何歳になっても、
学ぶことをやめる必要はありません。
ただ、
50代になった今、
私自身は若い頃と比べて、
体力や記憶の仕方に変化を感じています。
仕事もあります。
家庭もあります。
使える時間にも限りがあります。
だから私は、
50代からは、
好きなことを学べばいいと思っています。
興味のあるもの。
面白いと思えるもの。
自分の仕事や人生に必要だと思うもの。
全部やろうとしない。
私は、
50代からは、
引き算の人生
でもあると思っています。
何かを増やし続けるだけではなく、
何をやらないかを決める。
それも必要です。
何を学ばないかを決める
今は、
学ぼうと思えば、
いくらでも学ぶものがあります。
AI。
クラウド。
セキュリティ。
データ。
プログラミング。
英語。
経営。
マネジメント。
コミュニケーション。
本当にきりがありません。
全部を深く学ぼうとすると、
時間がいくらあっても足りません。
だから、
何を学ぶかを決めることは、何を学ばないかを決めることでもある。
私はそう考えています。
今の仕事に必要なのか。
自分が興味を持てるのか。
これからの自分に必要なのか。
概要だけ知っていればいいのか。
深く理解した方がいいのか。
そこを考える。
50代になって、
学ぶことそのものより、
学ぶ対象を選ぶこと
の重要性を強く感じるようになりました。
理想は「AIだけでは出しにくい価値」を出せるエンジニア
では、
AI時代にエンジニアは、
どんな価値を出せばいいのか。
理想を言えば、
AIだけでは出しにくい価値を出せるエンジニア
になることだと思います。
ただ、
これは簡単ではありません。
AIのできることは、
これからも増えていくでしょう。
だから、
「ここだけは絶対に人間にしかできない」
という領域を決めつけるのは難しいと思っています。
それでも、
人ができることはあります。
目的を決める。
人の状況を見る。
AIの特性を見る。
誰に何を任せるかを決める。
出てきた結果を評価する。
複数の選択肢を組み合わせる。
そして、
最終的に価値ある成果につなげる。
学ぶ目的は、
何でも自分一人でできるようになることではありません。
人にもAIにも適切に任せ、その結果を評価できる自分になること。
私は、
そのためにも学び続けたいと考えています。
実際に企業へAIを導入する中で、私はAIを「使う」より「マネージメントする」という感覚に近いと考えるようになりました。
企業に生成AIを導入する側になって分かったこと
正解が分からないからこそ、学び続ける

AI時代に、
エンジニアが何を学ぶべきなのか。
正直に言えば、
私は正解を知りません。
AIの進化は速いです。
数年後、
どんな技術が主流になっているのか。
どこまでAIが仕事をしているのか。
人に何が求められているのか。
正確に予想するのは難しいと思います。
だからこそ、
一つの答えを信じすぎないことが大切だと思っています。
人の意見を聞く。
ニュースを見る。
本を読む。
ネットで調べる。
新しい技術を触る。
自分だけの経験では答えが出ないとき、私は本から先人の経験を借ります。ただし、本の答えをそのまま採用するのではなく、自分で考える材料として使っています。
年間130冊読む私が考える『本を読む意味』|先人の経験を借りて自分で考える
そして、
自分で考える。
今の自分にとって、
何が必要なのか。
自分はどこへ行きたいのか。
そこから、
自分なりの答えを作る。
環境が変われば、
答えも変えていい。
学ぶ。考える。そして、自分で決める。
それを繰り返していくしかないと思っています。
まとめ|AI時代だからこそ、学び続ける
AIが進化すると、
人が学ぶ必要はなくなる。
私は、
そうは考えていません。
むしろ、
AIが賢くなるほど、
人には、
AIの答えを評価する力。
AIと議論する力。
自分で判断する力。
AIと議論できる力を身につけても、AIごとに得意な仕事は違います。
私自身も、画像、資料作成、コーディング、調査、動画作成でAIを使い分けています。実際の使い分けは
仕事で使える生成AIサービス比較|社会人エンジニア向け
でまとめています。
そして、
何を学ぶかを選ぶ力が必要になると思っています。
基礎をしっかり学ぶ。
経験を重ねたら、
応用や選択肢を広げる。
さらに、
何を深く学び、
何を学ばないかを決める。
そして、
その学びを続ける原動力にするのが、
好奇心です。
正解は、
正直まだ分かりません。
だからこそ、
学び続ける。
人の意見を聞き、
ニュースを見て、
調べて、
自分なりの答えを出す。
そして、
人にもAIにも適切に任せながら、
価値あるアウトプットを出し続ける。
今は、
それがAI時代のエンジニアに必要な姿だと、
私は考えています。
今日の一歩

今、
自分が学んでいることを、
一つだけ書き出してみてください。
そして、
自分に問いかけます。
「これは、AIに答えを出してもらうために学んでいるのか。それとも、AIと議論できる自分になるために学んでいるのか。」
その答えを考えることが、
これから何を学ぶべきかを決める、
一つのきっかけになると思います。



